火傷を負った場合

(1)はじめに

仕事中に火傷を負った場合にも、業務災害として、労災保険が適用されることがあります。
また、火傷の原因が使用者らの安全配慮義務違反にある場合や火傷の症状がひどく後遺症が残ってしまった場合には、会社に対し、損害賠償請求できることがあります。

(2)裁判例の紹介

名古屋高判昭和58年12月26日

事案の概要 鉄スクラップの溶解業務に従事中、溶解液の飛沫が飛来し、労働者(被災労働者・A)が、左眼角膜火傷等の傷害を負った事案。
判決要旨 裁判所は、まず、溶解作業においては鉄溶解液の飛沫発生は不可避な現象であり、使用者は、「同作業に従事する労働者に対し、右作業の危険性を説明し、防護具を支給し、これを着用するよう教育する義務があったと解するのが相当である。」としました。
そして、使用者は、Aに対し、入社時の基礎的安全教育を行い、保護具の支給もしていると認められるが、「仕事の慣れや保護具自体の不便さ等から、保護具の使用を怠っている労働者に対し、改めて危険性を説明し、保護具を確実に着用するよう指導するなど、経験者に対し再度安全教育を確実に行う必要があった。」としました。
すなわち、本件のような高度な危険が伴う作業にあたっては、使用者は、一般的な安全教育や保護具の支給をなすのみでは足りず、作業現場での保護具の着用等、具体的な指示・教育をもって労働者の安全に配慮すべき義務を負っているとして、損害賠償請求を認めました。
なお、Aにも3割の過失があったと認定されました。