落下物に当たって怪我をした場合

(1)はじめに

落下物が当たって怪我をしたという災害は頻繫に発生する労働災害の1つです。
このタイプの労災事故は、建設業や製造業、運送業などの現場でよく見られるもので、当たりどころによっては重篤な結果を招くことも少なくありません。

労災保険を利用することで、相応の補償を受けることはできますが、会社の安全防止策が不十分であった場合には、会社に対し、損害賠償請求できることがあります。

(2)裁判例の紹介

千葉地判平成元年3月24日

事案の概要 運転資格のない者(被災労働者・A)がクレーンを操作中、吊り下げていた物が落下して右足を挟まれて負傷した事案。
判決要旨 裁判所は、使用者らは、本件クレーンの運転資格がないのにAがこれを操作することを黙認していた点、本件クレーンの滑走による危険を防止するために走行ブレーキを取り付けなければならないのにこれをしなかった点において、安全配慮義務違反があるとして、損害賠償請求を認めました。
なお、Aにも操作上のミスがあったとして、3割の過失が認定されました。

横浜地小田原支判平成6年9月27日

事案の概要 クレーンを用いて原木をトラックに積込み作業中、ワイヤーロープが解けて落下した原木に当たり頸部を負傷した事案。
判決要旨 裁判所は、使用者らは、玉掛けに使用してはならないワイヤーロープを使用し、安全荷重を上回る原木の吊り下げ作業を行わせたため、ワイヤーロープが原木の荷重に耐えきれずに解け、右事故を発生させたのであるから、安全配慮義務違反があるとして、損害賠償請求を認めました。