フードデリバリー中の事故と労災

更新日:令和4年04月06日

※こちらの記事は2022年04月06日までの情報を元に作成しています。執筆時点以降の事情変更により記事の内容が正確でなくなる可能性がございます。
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近年、コロナ禍による外出自粛・制限が広がった影響により、フードデリバリーサービスの需要が高まっています。

これによりフードデリバリーサービスの配達員が増え、配達作業中に交通事故に遭うケースも増えています。

ここでは、配達作業中に交通事故に遭い収入を得られなくなった場合や後遺障害を負った場合にどのように補償されるのか解説いたします。

目次

1. 労災保険による保障は難しい

2. 個人事業主への補償

a. 労災保険の特別加入制度

b. 加害者に対する損害賠償請求

1.労災保険による保障は難しい

まず、勤務中の事故ですから労災保険給付による補償が考えられます。

しかし、結論から申し上げますとフードデリバリーサービスの配達員の場合には、労災保険による補償を受けられない場合の方が多いと言えるでしょう。

労災保険の対象は「労働者」

これには、労災保険の対象が「労働者」であることが関係しています。

フードデリバリーの多くは「個人事業主」として業務委託契約を結んでおり、基本的には「労働者」とはいえないため、労災保険給付を受けることができません。

労働者・・・職業の種類や形態(パートやアルバイトなど)を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者のこと

個人事業主・・・会社からの命令ではなく、対等な個人事業主として業務を受託する

具体的には個々の契約の内容や実際の業務形態から「労働者」性が争いとなる可能性もありますが、「業務委託」と判断される限りは労災保険給付が受けられないことになります。 

ご自身の契約が「雇用契約」なのか「業務委託契約」なのか事前に確認しておくのがよいでしょう。

<弁護士のポイント>

「労働者」であることを裁判で証明する基準としては、以下が考えられます。

1. 仕事の依頼や指示に対して諾否の自由がある(対等な関係である)
2. 業務の内容や遂行方法に対して指揮命令がない
3. 勤務場所や時間で拘束されない
4. 本人に代わって他の者が労務を提供することが認められているか、本人が自らの判断によって補助者を使うことが認められているか
5. 報酬の性格が使用者の指揮命令のもとに一定時間労務を提供していることに対する対価である(例えば、欠勤した場合に報酬が控除されたり、残業した場合に報酬とは別に手当が支給されるなど)

それでも「労働者」であるという判断が難しい場合は、その他様々な補助的要素を踏まえて判断することになります。

しかしながら、これらを現状のフードデリバリーに当てはめて考えたとき、「業務委託」の契約を結んでいても実情は「労働者」として働いていたという証明は難しいと言わざるを得ないでしょう。

2.個人事業主への補償

では、「個人事業主」は補償を受けられないのかというと、そうではありません。

一定の要件を満たす場合には、労災保険へ特別加入する「特別加入制度」があります。

労災保険の特別加入制度

事業主・自営業主・家族従業者など労働者以外の方のうち、業務の実態や、災害の発生状況からみて、労働者に準じて保護することがふさわしいと見なされる人に、一定の要件の下に労災保険に特別に加入することを認めている制度。

加入していれば、業務中の怪我や病気、障害等による死傷について補償を受けることができます。

令和3年9月1日より自転車による貨物運送事業を行う方(フードデリバリーの配達員)も労災保険へ特別加入できるようになりました。

申請書や詳細については厚生労働省のHPをご覧ください

a.特別加入の注意点

特別加入にあたっては、以下の点に注意が必要です。

  • 労災特別加入団体を通じた加入
  • 特別加入をする場合には、特別加入団体として労働局長から承認されている「特別加入団体」を通じて加入する必要があります。

    加入団体は都道府県の労働局や労働基準監督署に問い合わせて調べられます。

  • 保険料・組合費は自己負担
  • 特別加入団体加入による組合費や労災保険料は自己負担となります。

    保険料=保険料算定基礎額(給付基礎日額×365)×それぞれの事業に定められた保険料率

  • 加入のタイミング
  • 申請が承認された次の日から保険が使えるようになるので、何かあったあとから申請しても遡って請求することはできません。

また、保険料の計算は月割計算なので、月の初めから加入することがオススメです。

b.加害者に対する損害賠償請求

労災保険給付ができる場合か否かにかかわらず、配達作業中に交通事故にあった等の場合(第三者行為災害の場合)には、加害者(第三者)に対して損害賠償請求ができる可能性があります。

具体的には、以下です。
労災保険への加入があった場合:労災保険給付では填補されない慰謝料や休業補償の不足分等
労災保険への加入がない場合:治療費から休業損害、後遺障害慰謝料等の損害等

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