機械に巻き込まれて怪我をした場合

(1)はじめに

機械を操作して行う作業には危険が伴うため、使用者等は事故発生の危険を防止する措置を講じる必要があります(安衛法20条)。

例えば、動力により駆動される機械等については、危険を有する部分に防護のための措置を講じる義務(安衛法43条以下)があり、覆いや囲いの設置等が指定されています(安衛則25条各号)。

また、安全衛生法規則においては、関係法令によって設けた安全装置等の点検整備を義務づけています(安衛則28条)。
使用者等が、かかる関係法令に違反したため、労働者が機械に巻き込まれて怪我をした場合には、会社に対し、損害賠償請求できることがあります。

(2)裁判例の紹介

東京地判平成27年4月27日

事案の概要 工場内のプレス機械に手を巻き込まれ、4指切断の怪我を負った事案。
判決要旨 裁判所は、安衛法20条1号における機械等の危険防止に必要な措置を講じる義務や、プレス機械等の危険防止について規定された安衛法131条1項所定の措置を指摘し、「かかる措置は、労働者の身体の安全を確保することを目的とするものであり、これを怠った場合には、不法行為法上の注意義務違反及び安全配慮義務違反を構成するものと解される」として、損害賠償請求を認めました。

広島高岡山支判平成23年2月24日

事案の概要 作業中のエレベーター事故により労働者が死亡した事案。
判決要旨 裁判所は、「本件エレベーターは、労働安全衛生法において、事業者が機械等による危険の防止措置を義務付けられているエレベーターであり、搬器及び昇降路のすべての出入口が閉じられていない場合には、搬器を昇降させることができない装置を備えなければならなかった(同法20条1号、42条、安衛則27条等)」ところ、本件事故は、危険防止措置をとらず、また安全教育や具体的指導・注意も行わずにエレベーターを使用し続けたために生じたものであるとして、損害賠償請求を認めました。