業務災害によって労働者が死亡した場合、その葬祭を行った者の請求に基づき支給される労災保険給付が、「葬祭料」です。通勤災害によって死亡した場合は、「葬祭給付」が支給されます。
通常は、実際に葬祭を行った遺族に支払われます。しかし、故人に遺族がおらず、事業主や友人が葬祭を行った場合、支給対象が必ずしも遺族とは限らないことに注意が必要です。
身内によって葬祭が行われ、恩恵的に社葬も行ったという場合に、両者が請求できるわけではなく、遺族による葬祭料(葬祭給付)の請求が優先されます。
葬祭料(葬祭給付)の額は、315,000円に給付基礎日額*の30日分を加えた額です。この額が給付基礎日額の60日分に満たない場合、給付基礎日額の60日分が支払われます。
※給付基礎日額・・・労災保険において、現金給付を受ける際に支給額の計算の基礎となるもので、原則として、労働基準法の平均賃金に相当する額のこと。災害発生前3ヶ月間の賃金(通勤手当、時間外手当等諸手当を含む。臨時的に支払われたもの、いわゆる賞与は含まない)を原則的にはその期間の歴日数で割った1日あたりの賃金額のこと。
業務災害の場合、「葬祭料請求書」(様式第16号)を、通勤災害の場合「葬祭給付請求書」(様式第16号の10)を、所轄労働基準監督署長に提出します。
被災労働者の死亡を確認できる書類、死亡診断書、死体検案書、検視調書、またはその記載事項証明書
被災労働者が亡くなった日の翌日から起算し、2年経過すると時効により請求権が消滅しますので、請求漏れのないよう注意が必要です。