請求手続きの基本

労働災害が起きてしまった場合の手続き方法や流れについてご存じでしょうか。

本来、労働災害が起きた場合の各給付にかかる手続きは、原則的に被災本人またはその家族が行うものです。しかし、事業主が被災労働者に代わって手続きをとる事も可能であり、被災労働者本人やその家族の負担を避けるために、あらかじめ事業主が手続きの流れを把握し、適切かつ迅速に手続き処理することが望ましいでしょう。

 

一般的な流れ

1.労働者から会社に、労働災害が起きた旨の報告
2.受診した医療機関に必要書類を提出
3.事業所所轄の労働基準監督署長宛に必要書類の提出
4.労働基準監督署の調査への対応
5.保険金の給付

給付を受けるためには

次の表における「給付の種類」に応じた所定の「保険給付請求書(様式)」に必要事項を記載して、受診した医療機関および被災労働者の所属事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長に提出しなければなりません。

また、各請求書にはそれぞれ、事業主の証明(押印)が必要となります。

給付の種類 保険給付請求書(様式) 提出先
療養 療養補償給付たる療養の給付請求書(5号)
療養給付たる療養の給付請求書(16号の3)
病院や薬局等を経て所轄労働基準監督署長
療養補償給付たる療養の費用請求書(7号)
療養給付たる療養の費用請求書(16号の5)
所轄労働基準監督署長
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休業 休業補償給付支給請求書(8号)
休業給付支給請求書(16号の6)
障害 障害補償給付支給請求書(10号)
障害給付支給請求書(16号の7)
遺族 遺族補償年金支給請求書(12号)
遺族年金支給請求書(16号の8)
遺族補償一時金支給請求書(15号)
遺族一時金支給請求書(16号の9)
葬祭 葬祭料請求書(16号)
葬祭給付請求書(16号の10)
介護 介護補償給付・介護給付支給請求書(16号の2の2)
二次健康診断等 二次健康診断等給付請求書(16号の10の2) 病院経由、病院所在地を管轄する都道府県労働局長

表:厚生労働省 東京労働局HPより

事業主から証明を拒まれる場合

事業主としての対応として、事業主証明を拒否するといった事例が見受けられます。「事業主が労災であることを認めたことになってしまう」「押印すると民事上の損害賠償請求がなされた場合に不利になってしまう」等の懸念からと思われます。

請求書を提出する所轄の労働基準監督署に、証明を得られない事情を述べることにより、書類不備の状態であっても請求書は受理されます。経過を記録した文書を作り、早めに所轄の労働基準監督署にご相談されることをお勧めします。

労災保険としての給付対象になるか否かは、労働基準監督署長が判断することであり、事業主証明の有無が判断結果に影響することはありません。

事業主側として事業主証明を拒否したい場合

「証明拒否理由書」という書類を作成し提出することで、事業主証明拒否の理由をはっきりと説明することが大切です。様式に定型のものはありませんので、労働基準監督署に相談されることをお勧めします。

※療養の費用の給付を請求する場合について、第2回目以降の請求が離職後である場合、事業主による請求書への証明は不要です。